一時期、テレビや映画のお仕事から離れられていたものの、ここ数年役者として目覚ましい活躍をされている安藤政信さん。
安藤政信さんの魅力についてご紹介します。
デビュー作で大活躍の天才気質
安藤さんは1996年、北野武監督の「キッズリターン」で役者としてデビューしますが、そのデビュー作で日本アカデミー賞やゴールデンアロー賞をはじめとする様々な映画の新人賞を11も獲得しました。
幼少のころから子役として、芝居の英才教育を受けていたわけでもなく、工業高校在学時の1994年にスカウトされたのが芸能界入りのきっかけだった安藤さんが、これだけの賞を受賞するということは、まさしく芝居の天才、役者として天性の才能があったと言わざるを得ません。
その上にご本人の並大抵ではない努力もあったでしょう。
キッズリターンでは、人気俳優の金子賢さんと並んでも圧倒されることなく、自然な演技をされているのが印象的です。
眼だけで演技ができる
安藤さんは、セリフが比較的少なく、表情やしぐさの演技を要求される役柄に抜擢されることもあります。
特に印象深いのは、1998年、TBSで放送されたドラマ「聖者の行進」です。
健常者であるにもかかわらず、重度障害がある妹と一緒にいるために知的障害者のふりをして作業所で働く兄、高原廉役です。
廉は全く話をしないわけではないのですが、寡黙で、表情や視線で不満や怒りを表すことが多い人物でした。
工場の社長の虐待への不満を、静かに睨むことで表現したり、妹や楽器を教えてくれる葉川先生と接しているときは、温かく柔らかい視線での表現が要求される役でした。
しかし、目力のある安藤さんが演じると、まるで視線だけで感情やセリフまでもが聞こえてきそうなほど「高原廉の感情が見事に表現されていました。
また、全くセリフがない役としては、深作欣二監督の「バトルロワイヤル」、桐山和雄役が有名です。
作中は全くセリフがありません。
ただ不気味にニヤッと笑うなど、視線や表情だけで桐山という人物の狂気を見事に表現しています。
初めの台本では、映画の後半に桐山の思想を表現するようなセリフが一つだけあったそうですが、安藤さんの提案でセリフが削除され、最後まで黙ったままになったそうです。
役柄になり切り、桐山がここで話すのはおかしいのでは?と提案した安藤さん。
眼だけで演技できる役者ならではのエピソードです。
芝居に対するストイックな姿勢
安藤さんは、2011年「スマグラー-おまえの未来を運べ-」という作品で4年ぶりに邦画出演を果たします。
安藤さんは「背骨」という名前の、かなり激しいアクションを要求される役をされています。
その際に、肋骨を骨折する怪我をされてしまうのですが、役柄を理解するためや、石井監督への配慮から、何が何でも役をやり抜くというコメントをされています。
また、映画出演にブランクがあったことで、ファンの自分に対する役者としての意識が数年前で止まっていることを意識し、それを挽回したいという強い思いもあったようです。
安藤さんはたった一か月でトレーニングや体作りをし、見事に「背骨」の役を演じられています。
役柄を選ばず、どんな役もこなせる演技力
学生、知的障害者、極道もの、江戸時代の遊郭の男衆など、一定の傾向がなくあらゆる役柄をこなしている安藤さん。
役柄の多彩さは、そのまま安藤さんの演技力の幅を示しています。
役によってまた安藤さんの違った一面を見ることができ、ファンは新鮮な驚きも感じます。
安藤さんは年齢を超えて演技をされることもあり、映画バトルロワイヤルでは、25歳であったにもかかわらず、中学3年生の桐山の役をやっています。
いつまでも若々しい安藤さんならではと言えるでしょう。
極道や時代物は非日常的な役柄と言えますが、そういった役柄も「なり切って」演技されています。
芝居以外で見せる人懐こい笑顔
ドラマや映画のメイキング映像や、インタビューなどで見せる、安藤さんの素の笑顔は、何かの役柄を演じられている時とは異なり、人懐こく、ややかわいらしさすら感じます。
黒目がちの大きな瞳が特徴的な顔立ちのせいか、年齢より若く見える安藤さんですが、狂気や厳しい役柄の映像を見た後にそういった安藤さんの笑顔を見ると、見ているファンも笑顔になります。
安藤政信さんのファンにとっては、ミステリアスな部分もある安藤さんですが、演技をしているときだけではなく、雑誌の表紙や、演技以外での素の安藤さんの笑顔も必見です。
安藤政信さんの演技を見てみよう
2016年も映画俳優として活躍している安藤さん。
今後も様々な役柄を演じ、色々な顔を見せてくれそうな、期待の大きい俳優さんです。
ご結婚もされて、お子様も誕生し、ますます公私ともに充実しておられます。
安藤さんのさらなるご活躍が、今後も大変楽しみです。
「安藤政信の演技力がすごい!ストイックな性格からくる演技の渋み」への感想コメント一覧
聖者の行進は覚えています。あの時代だったから出来たドラマだったと思いますし、複雑な役を安藤政信さんが上手く演じていた記憶があります。顔がかっこいいだけじゃないところが素敵ですね。