「歯固め」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
赤ちゃんの生育に必要なことなのですが、単なる地域の風習のようにとらえられている場合もあります。
今回は、歯固めの意味やその方法についてご紹介します。
歯固めという儀式
日本では昔から、赤ちゃんの出生100日後に、お食い初めという儀式をします。
赤ちゃんは、生まれてちょうど100日目ごろに歯が生え始めるので、その時期に合わせて行うのが風習になっています。
地域によって多少の違いがありますが、赤ちゃんにご飯を食べる真似をさせるような儀式が一般的です。
そしてその際に、併せて「歯固め」を行います。
歯固めの儀式では、赤ちゃんに石をかませます。
この石はお食い初めの石と呼ばれ、神社でいただいたり、販売されているものを使用したりします。
地域によっては、地面から拾った石を使用するところもあります。
正式には、赤、白、黒の3色の石を1つずつ用います。
ですが、地域によっていろいろないわれがあり、かなり差があります。
とはいえどの地方でも、石のように硬い歯を持った丈夫な子どもに成長するようにとの願いを込めて行われるのです。
歯固めの由来
儀式として執り行う歯固めには、中国の風習が由来しているといわれています。
中国では、年の初めに、赤ちゃんに硬い飴を食べさせる風習があったのです。
その意味するところは、日本のものと同じく、立派な歯や丈夫な体を願ってのことです。
飴はともかく、ご飯にしても、もちろん生後100日の赤ちゃんには食べられません。
ましてや石は、食べ物ではありません。
ここでいう歯固めとは、単なる儀式や風習であり、家柄や地域によって行ったり行わなかったりするものです。
ですので、儀式としての「歯固め」という言葉は、廃れかかっているとも言えます。
歯固めという道具
歯固めといえば、赤ちゃんのおもちゃのことだと思っている人のほうが、最近では多くなります。
「歯固め」という商品が、ホームセンターやネット通販でも頻繁に売られています。
これは、赤ちゃんに噛ませるおもちゃのようなものです。
赤ちゃんはよく、よだれかけやタオルなど、身近なものを噛みます。
ですが、布はすぐにぐしょぐしょに濡れてしまい、ずっと噛ませているのも衛生的とは言えません。
「歯固め」は、通常プラスチックや合成樹脂でできているので、洗ったり消毒したりでき、衛生面でも安心です。
また持ち手がついているものもありますので、赤ちゃん自身も握りやすくなっています。
さらに、適度な噛み応えがありつつも、けがするほど硬くはありません。
絶妙な硬さです。
もちろん、放り投げて誰かに当たっても、けがをしにくい作りのものが多いです。
歯固めが必要な理由
赤ちゃんは、歯が生え始めるころ、歯茎のむずがゆさに悩まされます。
乳歯から永久歯に生え変わる頃に経験するのと似たような不快感です。
口の中がかゆいような痛いような変な感じで、赤ちゃんは歯茎を触ったり、身近なものを噛んで不快感を和らげようとします。
中には泣き出してしまう子もいますし、のちのち指しゃぶりが癖として残ってしまう子もいます。
こんな時に使用するのが、歯固めです。
適度な硬さがあるので、噛むことによって歯茎の不快感を紛らわすことができます。
また、適度に歯茎を刺激することにより、この後に生えてくる乳歯が成長しやすくなるともいわれています。
さらに、歯固めを噛む経験は、のちに歯でものを噛むときの練習にもなるわけです。
このように、歯固めは赤ちゃんの単なるおもちゃというだけではなく、そのあとの生育にも欠かせない道具といえるのです。
歯固めの種類
歯固めには、本当にいろいろな種類があります。
機能性をうたうものもあれば、デザイン性に富んだかわいらしいものもあります。
最近では、普段はお母さんのペンダントとして使用できるほど凝ったデザインのものも売られています。
ですが、どんなに素晴らしい歯固めを選んでも、赤ちゃん自身が興味を示さないことも多々あります。
でも歯固めが嫌いだからといって、大きくなってからも指しゃぶりがやめられなくなってしまうのでは、やはり子ども本人がかわいそうです。
市場にはたくさんの歯固めが出ていますので、赤ちゃんが気に入るものが見つかるまで、いくつか試してみる家庭が多くなります。
歯固めは数百円から購入できるので、たくさん買っても大した負担にはなりません。
もちろん、歯固めを一切与えずに育てる家庭もありますし、タオルやおもちゃを噛んで大きくなった子どももいます。
でもせっかく歯固めという道具が商品化されているので、試してみる価値はあります。
歯固めについて知ろう
歯固めには2つの意味があります。
もともとは石を用いる儀式、実用面では丈夫な歯のための道具です。
ですがいずれも、赤ちゃんの健やかな成長のためのものです。
赤ちゃんの成長は、家族にとって幸せ以外の何物でもありません。
また赤ちゃんにとっても、食が幸せにつながるための最初の一歩が、歯固めです。
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