「まあ」が口癖な人の性格や心理とは

「まあ、そんなところでいいんじゃない」「まあ、そう言わずに」「まあ、なんとかやってます」など、言葉の頭に「まあ」をつける癖のある人が少なからずいます。

誰でも時には「まあ」をつけることはありますが、それが癖になっている人には、独特の心理が働いていると考えていいでしょう。

では、どんな心理から「まあ」を連発するのかご紹介します。

ことを穏便にすませたい、荒立てたくない

まず挙げられるのが、「何事も穏便に」という心理です。

争いやトラブルを好まず、常に平穏であることをよしとする人が、「まあ」を多くつかう傾向があります。

例えば、職場の上司に退職を願い出たとしましょう。

それに対して「まあ、そんなこと言わずに、考え直してみたら?」と返答する上司に、「穏便にすませたい」という心理が強く働いていることは、まちがいないでしょう。

心の中では「今、この部下に辞められたら、自分のマネジメント能力が疑われる」とか、「新しいスタッフを募集しなければならず、めんどうだ」など、自分の不利益になることを想像しています。

そして、「そんなことにはしたくない。

何とか翻意させたい」と考え、それが「まあ」という言葉に表れるのです。

トラブルが発生したときや、感情をあらわにしている人に対して「まあ」を多発するのも、つまりは「ことを荒立てたくない」という心理によるものと考えていいでしょう。

この心理は「ことなかれ主義」に通じるケースが多く、その心理のために、かえって「こと」が大きくなってしまうということも少なくありません。

「自分のほうが大人である」という上から目線

それとは違う種類の心理もあります。

例えば、感情的になっている人に対し、「まあ、そうカリカリしないで」とか、「まあ、そんな興奮しないで、ここは少し落ち着こうよ」という言い方をする人がいるでしょう。

そう言われた人は、その言葉に感情を害すにちがいありません。

「なにを偉そうに」と感じるからです。

その「偉そうな感じ」は「自分もほうが大人だ」という上から目線から生まれるものです。

言われたほうは「自分が下に見られている」ということを瞬時にしてキャッチしますから、「偉そうに」と思い、腹を立てるわけです。

ですから、多くの場合、立場の上の人が下の人に「まあ、落ち着いて」というような言い方をします。

しかし、例えば、部下が上司に「まあ、そんなに感情的にならないでくださいよ、課長」というケースもあるでしょう。

その場合、その発言者は普段から上司を人間的に下に見ている、自分のほうが精神的に大人であると考えているのです。

こうした「まあ」には、相手をたしなめたり、嘲ったりする心理が隠されています。

「まあ、こどもじゃないんだから」とか、「まあ、お互い、いい大人なんだから」いう言い方には、相手に対する明らかな「嘲り」が含まれているわけです。

気持ちが冷めている、本気ではない

何か言われたり聞かれたりした場合に、「まあ」から始まる返事を返すこともあります。

例えば、部下が上司に仕事上の案件について具申したとしましょう。

「ここはもっとこうしたらいいんじゃないでしょうか」というような進言です。

その際、上司が「「まあ、考えておくよ」と答えたとしたら、部下はおそらくがっかりするにちがいありません。

この「まあ」には、「その件に関しては、あまり乗り気ではない。

ほんとは真剣に考える気持ちがない」というニュアンスが含まれるからです。

逆に言うと、本気で考えようとしている場合に、そうした「まあ」を用いることはないのです。

また、何か意見を求められ、それに答えたあと、最後に「まあ、こんなとこじゃないでしょうか」という言い方をする人もいます。

この「まあ」も、「断言できる自信はありません。

とりあえず、こう答えましたが、まちがっているかもしれません。

まあ、どうでもいいです」という心理が含まれていると考えていいでしょう。

いずれにしても、「対象となる案件に対して気持ちが冷めている、本気ではない」という心理が働いているのです。

軽い否定を、それとなく含ませている

さらに、あいまいで微妙な心理もあります。

この会話例をお読みください。

「元気そうだね」「まあ、なんとかやってます」いかがでしょうか。

相手から「元気そう」と指摘されたとき、自分でも元気だという自覚があるなら、「はい、元気です」と答えるはず。

それを「まあ、なんとか」と答えるのは、「実はそうでもないんです」という含意によるものです。

ストレートな表現を避けようとするのは「まあ」を口癖にする人の、最大の共通心理ですが、その典型例がこの場合の「まあ」だといっていいでしょう。

「まあ」が口癖な人は日本人らしさがあふれている

ここでは、「まあ」を口癖にする人の心理について、一般的な4つのケースを紹介しました。

その多くは「日本人的心理」と言っていいでしょう。

「まあ」には、多くの場合、ことを穏便に済ませようとしたり、ぼかした表現にしようとしたりという、いかにも日本人的な心理が隠れているのです。

さらに、「自分のほうが大人」という上から目線も、「慇懃無礼という日本人の特性によるもの」と考えることもできるでしょう。

 

    「「まあ」が口癖な人の性格や心理とは」への感想コメント一覧

  1. 1. パトラ2019/06/11(火) 03:22

    「まぁ」は、大相撲解説者の元豊真将さんの口癖です。現役の頃から好きなお相撲さんでしたが今はこの口癖が気になってとてもイライラし、思わず音を消してしまいます。
    こちらの記事を読みなるほど、と思いました。
    いろいろな方の口癖が気にならなくなる方法って無いでしょうか?口癖がある人より他人の口癖で悩んでいる人の方が多いと思いますので是非教えてください。

  2. 2. 多愚2023/03/13(月) 07:16

    プロ野球解説者の古田敦也も「まあ」を多用する。
    アナウンサーに「村上選手は・・・・・のように思えますね、いかがですか」と聞かれ「まあそうですね・・・・・」と話し出す。聞き手の考えを一部認めるが多くの部分が間違っている、と相手をバカにする姿勢が見えて仕方がない。
    まさに相手を軽く否定し、自分が上の上から目線の人物に思えるのだ。

この記事への感想を書く