否定命令とは。相手の深層心理を活用しよう

最終更新日:2016年5月13日

「否定命令」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

文字通り、否定表現が入った命令のことなのですが、実は私たちの深層心理に不思議な現象を起こす言葉でもあります。

今回は「否定命令」についてご紹介します。

1.「走ってはいけない」のような注意や叱責

「走ってはいけない」のように「ない」という否定表現を伴った命令が「否定命令」と呼ばれるものです。

子育てをしていると、子どものいけない部分ばかりが目について、つい「走ってはいけません」「触っちゃダメ」「泣かないの」など、否定命令ばかりしていることに気づきます。

しかし私たちは「走ってはいけない」と言われると、まず「走る」という動作を頭にイメージし、そのあとで「ない」という否定表現を認識します。

つまり「走ってはいけない」」と言われるとまず思い浮かぶのが自分の走る姿です。

子どもならなおさら、走るのをやめるどころか面白がって走り続けてしまいます。

「走る」という情景は簡単に想像できますが「走らない」想像はとても難しいからです。

ですから、走ってはいけないことを相手に伝えようと思ったら「止まれ」とか「座りなさい」など、具体的にイメージできる言葉で置き換えたほうがより伝わります。

「ない」を含まない表現に変えるということです。

これは子育て中に限らず、会社で後輩に注意するときなども同じです。

人間はどうしてもよくない事柄のほうが目につきやすいので、否定命令のほうが簡単にできるのですが、実はとても伝わりにくい命令方法だったのです。


2.「絶対に読んではいけない」のような購買意欲をそそる宣伝文句

前述したように「読んではいけない」と言われると、私たちはまず「読む」という動作を先にイメージします。

そして「読まない」という状況はイメージするのがとても難しいのです。

それは「読まない」代わりに何をすればいいか、指示が与えられていないからです。

「読んではいけない」と言われれば言われるほど、読みたくなるのが私たちの心理です。

この心理を利用して、企業が広告に用いることがあります。

「痩せたい人以外はクリックしないでください」とか「味を知りたくない人は決して買ってはいけません」というコピーがそれです。

これらは別名、催眠言語とも呼ばれています。

「読んではいけない」と言われると、つい読んでしまう、ついクリックしてしまう、つい買ってしまうという経験を、あなたはしたことがありませんか。

いずれの場合も私たちの脳は「読む」「クリックする」「買う」というイメージに占領されてしまい、そうしないという選択ができにくくなるという、一種の催眠状態に陥っているのです。

広告を見る際には、十分にご注意ください。


3.「太るから食べてはいけない」のような自己暗示

ダイエットが難しいのは「食べてはいけない」と唱えれば唱えるほど「食べる」というイメージが頭の中に沸いてくるからです。

前述のように「食べない」場合、何をすればいいのか脳はわかっていません。

ですから、飲食を控えたいのなら「食べてはいけない」ではなく「運動しろ」「掃除しなさい」「階段を登ろう」といった言葉を自分にかけるべきです。

禁煙もそうです。

「吸ってはいけない」と自分に言い聞かせると「吸う」という動作ばかりがイメージになります。

「吸う」代わりに何をしたらいいかを、具体的に脳に命令してあげましょう。

もしも自分に対して「ない」という否定表現を使って自己暗示を行おうとすると、それはかなりつらい状況になります。

今一度、目標を達成するために何をすべきかを、言葉にしてみましょう。


4.「プレゼントしてくれなくていいよ」のようなおねだり

否定命令を下されると、相手はついその行動をしたくなってしまいます。

それを逆手にとって、おねだりすることもできます。

記念日でもないのに気に入ったバッグを見つけてしまったとき「プレゼントしてくれなくていいよ」などと彼氏に言ってみてください。

彼氏の頭の中には「プレゼントする」という動作しか浮かばなくなっているはずです。

もしかしたらそのバッグがかなりの高級品で、実際にはプレゼントされなかったとします。

でもその場合、彼氏はかなりの罪悪感を抱くことになるでしょう。

なぜなら、プレゼントしない場合、どういう行動をとるのが正解か、彼の脳は指示を受けていないからです。

ですので、代わりに違うものを何かプレゼントしてくれるかもしれません。

豪華なディナーをご馳走してくれるかもしれません。

彼氏としては、バッグをプレゼントできなかった償いのつもりでさえあります。

否定命令を上手に活用しよう

「否定命令」についてご紹介しました。

相手に直接の指示を通したいときは、否定命令を避けるのが賢明です。

なぜなら脳が勘違いを起こすからです。

でもそれを逆手に取った使い方も、世の中では多く目にします。

いずれにせよ、賢く言葉を使っていきたいですね。