ポリウレタンはプラスチック素材であり合成ゴムでもあるという特殊な素材で、その特性を活かして実に様々な製品に利用されています。
化学繊維として衣類にも使用されています。
今回はそのポリウレタンの特徴をまとめました。
化学繊維なのにバツグンの伸縮性
ポリウレタンは化学繊維の中で群を抜く伸縮性を持っています。
これはポリウレタンが合成ゴムでもあるためです。
その伸縮性は5倍~8倍で、それを活用してストレッチ性に優れた衣類が作り出されます。
水着やジャージなどのスポーツウェア、女性の補整下着のほか、ストッキングや靴下など、その用途は様々です。
医療用でも伸縮性を活かして包帯などに使用されます。
このように伸縮性に優れた素材ですが、化学繊維としてはポリウレタン100%で使われることは滅多にありません。
ポリウレタンの繊維を芯として他の繊維を巻き付けたり、ポリウレタンと他の繊維を撚り合わせたりした糸が使われています。
どうしても劣化は避けられない
ポリウレタンの大きな特徴はその伸縮性と、もうひとつ、経年劣化です。
水分に反応して分解してしまう性質を持っているので(これを加水分解といいます)、空気中の水分にも反応して徐々に劣化してしまいます。
衣類の場合は、保存状態や着用状態にもよりますが、多くは2~3年が目安になります。
劣化すると、買った時は伸縮性があったのに伸びきったゴムのようにヨレヨレになったり、ボロボロと剥がれたり、ベタつきが出たりすることもあります。
長持ちさせるには高温多湿や日光を避ければよいのですが、衣類では難しいですね。
汗も劣化の原因になりますし、紫外線や微生物でも劣化、しまっておくだけでも劣化しますので、ポリウレタンを使用した衣類は、それを前提に購入して活用しましょう。
衣類に適した様々な特徴
ポリウレタンには劣化という欠点がありますが、それでも衣類に向いた様々な特徴を持っています。
最初に紹介した伸縮性の他、繊維としては軽い方である細い繊維に加工することが可能なので、きめの細かいストッキングなどが作られる耐油性があるので汚れにくい天然ゴムと違って染色できるからデザイン性のある製品ができる摩耗に強いといった特徴です。
また、衣類では繊維としての他に、合成皮革製品のコーティング剤や、異なる素材の接着剤としてもポリウレタンは活用されています。
合成皮革にツヤを与えたり、接着剤として衣類の製造を簡単にしたりするので、その点でも非常に便利な素材です。
ただ、この場合も劣化すると着用できないほど見た目が悪くなるので、ポリウレタンの特徴としてとらえておきましょう。
手入れのときには注意が必要
ポリウレタンは引っ張りに強く、ある程度の強度があるので裂けにくいのも特徴ですが、洗濯では少し注意が必要です。
強めのもみ洗いや洗濯機内でのねじれによって、伸縮性に問題が生じることがあります。
全体の伸縮性が均一ではなくなったり、悪ければ伸縮性そのものがなくなったりしてしまいます。
洗濯をするときにはネットに入れて優しく洗う方がいいですね。
また、熱にもある程度は強いのですが、場合によってはアイロンで形が固定してしまい、伸縮性がなくなることがあります。
乾燥機にかけると縮んでしまうこともあります。
乾燥機で縮んでしまうともう伸びることはありません。
このような特徴もあるので、念頭に置いて手入れをしましょう。
発泡ポリウレタンとしても身の回りにたくさん
発泡ポリウレタンは、ポリウレタンを発泡剤で化学変化させたスポンジ状のものです。
硬さや柔らかさを調整して製造できるので、断熱や防湿、それに防音や衝撃の吸収などの目的で工業分野では非常に多く使われます。
私達の身の回りにもよく使われています。
食器洗いなどに使うスポンジの他、色々なマットやクッション、ヘッドホンの耳当て部分などです。
発泡ポリウレタンも、経年劣化をします。
買ってから数年経ったマットなどが崩れるようにボロボロになったりするのはこのためですね。
それでも様々な特性が利用できるので、発泡ポリウレタンの方が普通のポリウレタンよりもずっと多く使われています。
硬質の合成ゴムや合成樹脂としても
ポリウレタンは天然ゴムの代用品として開発されたといわれています。
ゴムとよく似た性質をもつので、硬質ゴムとして靴底の素材などにも利用されています。
どことなくゴムのような柔らかいプラスチックといった感じの素材に思い当たる方も多いのではないでしょうか。
腕時計のバンドや、物を握り締めるグリップ部分、スマホやタブレットの保護ケースなど、合成樹脂としての活用も広範囲です。
硬さ柔軟性弾力性も様々に加工できるので、工業や医療など、多方面の産業や分野でも多く活用されています。
ポリウレタンがどんな素材なのかを知ろう
ポリウレタンは1930年代にドイツで開発され、その後アメリカで実用化されました。
日本で作られるようになったのは1960年代と、まだ数十年の歴史しかもちませんが、現在では色々な分野で大活躍の素材です。
ご紹介したように私達の身の回りの物にもたくさん使われていますので、ポリウレタンの長所と短所を知って、製品を有効に使いたいですね。
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