退職が決まると、いくつかのシーンで「挨拶」をすることになるのが通例です。
正式に退職が決まったタイミングや送別会、さらには退職するその当日の朝礼など、少なくても一度は挨拶をすることになるでしょいう。
ここでは、退職者が挨拶をする際に、ぜひとも押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
退職の挨拶に盛り込むべき内容は、2つの「謝」
まず、退職の挨拶でどんなことを話したらいいのか、盛り込むべき内容について基本的なポイントを紹介しましょう。
それは、2つの「謝」、すなわち「感謝と陳謝」です。
これまでお世話になった人を前にしての挨拶なのですから、「感謝」の意を表することは言うまでもないでしょう。
「長い間(もしくは「短い間ではありましたが」)、本当にお世話になりました。ありがとうございます」と感謝の意を表するのが、退職の挨拶のメインの内容になります。
それと同時に、もう一つの「謝」、つまり「ご迷惑をおかけしたこともありました。すみません」という気持ちも伝えるようにしましょう。
これが、意外に忘れがちな、しかし重要なポイントです。
送る側にしてみると、「あんなに面倒を見てあげたのに」とか「ミスのリカバリーをしてやったのに」と思っているケースが少なくありません。
ですから、ただ「ありがとうございました」というだけでなく、「ごめんなさい」という一言を付け加えたほうが、格段に印象がよくなるのです。
職場でのエピソードを交える
そのような2種類の「謝」を挨拶として述べる際に、有効なのが「具体的エピソード」です。
漠然と抽象的に「ありがとうございました」「ごめんなさい」というよりも、そこに具体的なエピソードを盛り込んだほうが、聞き手の心に届きやすくなります。
例えば、「こちらに配属されて、最初に任された仕事でさっそく大失敗をしてしまいました。あの時は、私のミスのリカバリーのために、課長を始め皆さんにご迷惑をおかけしました。5年前のあの失敗を、私はいまでもはっきり覚えています。そして、その経験が、私を成長させてくれたのだと思っています」というように話しましょう。
あるいは、「初めての社員旅行でこんな経験をした。あの時、自分なりに「社会人になれた」と実感した」というようなエピソードでもいいでしょう。
直接仕事に関係することでも、社員旅行のようなことでもかまいません。
そのリアルな経験談を持ち出すことで、聞き手に「ああ、そういうこともあったな」「そうだったな」と共感してもらえるのです。
短く簡潔に
内容としては、上記のようなものになるのが、退職時の挨拶の基本と考えていいでしょう。
その上で、意識する必要があるのが、挨拶のボリュームと時間です。
退職というのは、その当事者にとっては人生に幾度もない大イベントです。
けれど、当事者以外にとっては、別にたいしたことではありません。
よほど親しい同僚や、人間関係が濃密であった上司や後輩でない限り、「涙で送る」ということにはならないでしょう。
ここが、ポイント。
つまり、話を聞く側のほとんど人が「大した出来事ではない」と思っているのですから、退職の挨拶はできるだけ簡潔に、手短にすますべきです。
定年退職であれば「感慨ひとしお」ということもあるでしょう。
そのため、万感胸に迫るということもあるにちがいありません。
それは、聞き手も理解できますから、ある程度話が長くなっても許されるものです。
けれど、それ以外の理由で退職する場合は、「とにかく手短に」というのが、挨拶の大原則です。
特に、寿退社の場合は、それを面白くなく感じている同性社員もいるかもしれません。
ですから、「おかげさまで、婚活が実を結びました」といった、結婚そのものに関する文言は含めないほうがぶなんです。
あくまでも、上記の「2つの謝」に限定した、簡潔な挨拶をこころがけましょう。
明るすぎず暗すぎず
話し方や表情は、「すぎないこと」を意識するといいでしょう。
あまり明るすぎると「そんなにこの職場を去ることがうれしいのか」と思われてしまいますし、逆にあまりに暗すぎて、滂沱の涙を流すスピーチになってしまうのも考えもの。
あたかもワンマンショーのような雰囲気になってしまいます。
ある程度、感情を表す必要はありますが、「ほど」をわきまえた表情や表現を意識するようにしましょう。
主役は直属の上司、と意識する
もう一つのポイントは、直属の上司へきちんと謝意を伝えることです。
退職の挨拶をする際、「主役は自分ではなく、これまでお世話になった直属の上司だ」という意識を持つと、うまくいきます。
その上司が良い気持ちになるだけでなく、セクションの同僚や先輩、後輩、さらには上長まで、「よかった」という気持ちになれるのです。
たとえ、それまで上司との関係がうまくいっていなかったとしても、最後に「心よりの感謝」を上司に伝えれば、最高の引き際になることでしょう。
退職の挨拶をきちんとしよう
退職の挨拶は、ともすると自己満足のリサイタルになりがちです。
そうならないためには、「自分は主役ではない。主役はこれまでお世話になった先輩や同僚、後輩のみなさん、そして、直属の上司なのだ」という意識を持つ必要があります。
心のこもった、そして、聞く人が納得できる挨拶は、その意識から生まれるのです。
「退職時の挨拶のポイント。感謝と陳謝をしよう」への感想コメント一覧
私も退職した経験があり、挨拶もしました。記事の内容にありました、2つの「謝」を意識することなく、その時は、話したと思います。ただ、お世話になりましただけではなく、仕事のミスなどを陳謝する事も、話しの内容に入れる事により、気持ちが伝わると思いました。参考になりました。
「『直属の上司へきちんと謝意を伝えること』で職場の全員が、自分も含めて気持ちよくなれる」というのは今まで考えつきませんでした。確かに反対の立場なら、うれしく思います。退職の挨拶をする時は、このことを念頭において挨拶の内容を考えます。